■「教育」で人が育つことはない?
日本で多くの会社が実施している『研修』、ビジネススクールなどで行われている『ビジネス講座』など、多くの教育の機会は、対象者に一方的に講義を行うというスタイルです。
全く無駄なこととは思いませんが、講義スタイルの研修では、本質的な「学び」や「成長」につながりにくいのではないでしょうか。
受講したものの、
「一定期間が立つと忘れてしまう」
「学んだものを、どのように活用したらよいか分からない」
という声は良く聞きます。
これまで学生時代に勉強を通じて体験したことを冷静に振り返ってほしいと思います。有名塾に通ったら全員が東京大学に合格できるのでしょうか?勉強が得意な人とそうでない人の違いは、有名塾に通っていることの差でしょうか?
「学び」や「成長」は、主体的に学ぶ内容を設定した人が、継続的な自習によって得られるものと私は考えています。
つまり人が育つ「教育」の本質は、
●問題を発見する力を身につける
●課題設定能力を身につける
●具体的に努力が継続できる方法を構築する
という3点です。
■問題を発見する
ビジネスにおいて、多くの人が自分の成長のために必要なことは何か分かりません。なぜならビジネスにおいて成果を出す上で、万能な方法論が存在しないからです。試験内容が決められている大学受験とは大きくことなります。
それぞれの会社が置かれている競争ポジションや経営資源、部署の人材配置など様々な要因により、ビジネスパーソンに課される課題は、同じ会社内でも異なることがあります。
そのため、自分の「強み」・「弱み」と、会社や社会から期待されていることを掛け合わせて足りていないことを発見することが必要です。
自分の「強味」・「弱み」が分からなければ、友人や家族に意見を求めてみるのも良いと思います。また、会社から期待されていることは、上司と相談したり周りの同僚と話をすることも良いと思います。
なかでも最も大切なことは、5年程度の中長期的な将来を見据えた社会環境の変化や自分の年齢・家族構成・将来ビジョンなどを考えて、いま努力すべきことを考えることです。
エクセルを使って、自分や家族の1年ごとの年齢推移を10年分作成すると、必要な資金やそれに伴うスキルアップの必要性に気がつきやすいものです。非常におススメです。
■課題設定能力
自分が置かれている状況や問題点が分かれば、その解決方法を考えます。
「課題設定」とは、抽出した問題点について、いつまでに、どのように解決するかという視点で設定します。
つまり課題設定に盛り込むべき必要な要素は
①期限
②数値目標
③解決方法
の3点です。
特に解決方法については、仕事であれば、できる限り日々の単純業務レベルに落とし込むことが大切です。
例えば、「1か月後に新規得意先を3件開拓する」という期限・数値目標を設定した場合には、解決方法として「毎日3件のアポ取り電話をする」など設定が適切です。
これが「1週間に1件の新規開拓」という設定では、「1件の新規開拓」がどのような具体的行動により導き出されるのか不明確で、成果の振り返りをする際に、再現性の高い改善策を立てることが難しくなります。
「毎日3件のアポ取り電話をする」という設定で、目標達成できなかった場合には、次回は毎日5件の電話に再設定するなどの改善が可能です。
部下の課題設定について管理する場合にも有効な手段となりますので、ぜひ取り入れてみてください。
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